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イラク人虐待問題

静岡産業大学・経営学部教授 森戸幸次

2004/6/15 No.1250  磐田市ホームページPDFファイル


  世界に衝撃を与えた米兵によるイラク人虐待問題は、 フセイン独裁の恐怖政治から国民を解放して、 自由・民主主義・人権回復を目指した米国のイラク戦争の大義が、 完全に地に堕おちたことを象徴する事件のようだ。  裸でおびえる収容者に犬が襲いかかる様子や遺体の前で女性兵士がほほ笑んで冒涜ぼうとくする光景に、 半世紀前のドイツ・ナチスの収容所でユダヤ人が虐待された記憶を思い起こした人も多いに違いない。  
 このナチスのホロコースト (大虐殺) などを反省して国際社会は一九四九年、 戦争捕虜の待遇に関するジュネーブ条約を締結、 日本を含む百八十六か国が加盟した。 同条約は 「捕虜は常に人道的に待遇しなければならない」 と拷問を禁じているが、 三年前の 「9・11米同時テロ」 を契機に世界各地で対テロ世界戦争を開始した米軍は、 内戦下で無政府状態にあったアフガニスタンで捕えたイスラム過激派を戦争捕虜とは見なさず、 国際テロリストとしてキューバの米軍基地に収容、 拘束者の人権問題がたびたび指摘されている。
 イラクの場合、 虐待は旧フセイン軍兵士を対象に米軍を狙ったテロ情報を得るための尋問・拷問から生じたようだ。
 六月末に主権委譲が迫った新生イラクは、 今や米国の対テロ戦争の主戦場と化して泥沼化。 最近の世論調査では、 米軍を解放者と見る者はわずか七%に過ぎない。 イラクの治安回復を急ぐ米国にとって、 「支配 (占領) と安全 (治安) は両立しない」 という国際政治の教訓は生かされていない。




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